淡路島の古民家での暮らし方_File05

2012.10.29

Researchの概要

調査日2012年10月29日

File05 緒方 明 緒方 信子

大阪で勤めていた会社を辞め調理師免許を取ったご主人と、小学校の給食の栄養士をしながら、リース作りや絵手紙も教えていた奥さんの信子さん。ふたりの笑顔が色彩豊かな自然に優しく輝く。

1. まだまだ走り続ける

あわじ花の歳時記園を営む諸方信子さん夫妻。信子さんは淡路島の生穂出身。15年前に知り合いに紹介してもらったこの場所に一目惚れし、あじさい園を買い取って納屋を改装、喫茶スペースを作ってあわじ花の歳時記園をオープンした。当時共働きだった緒方さんは「生活もしていかなあかんし、急に2人共辞められないでしょう。それで主人が仕事を辞めて、私は 週末こっちに来る生活になって。 橋代だけでもいくら使ったことか」と計算しながら当時を振り返る。平日は神戸で栄養士の仕事をし、週末は淡路島であじさい園を切り盛り、ずっと休みなしの生活を、なんと15年間。「そうやね。お父さんが今週は寒くてお客さんも少ないしいいよって言ってくれて、帰らなかったのは年2回くらいであとは毎週だったね。そのかわり神戸の家はむちゃくちゃよ」 今年4月に淡路島に帰ってきた信子さんは退職してからのほうが忙しいと話す。

2. 身土不二

駐車場にはたくさんの栗のいがが落ちていて、秋の気配。階段を登っていくと喫茶スペースがあり、テラスからは山を一望、遠くに聞こえる鳥のさえずり、少しひんやりした山の空気が気持いい。6月に咲く約3500株のあじさいを見ながらテラスでハーブティー、なんて想像しただけでも贅沢だ。あわじ花の歳時記園では宿泊も受けているそうで、お客さんに出す料理写真を見せていただいた。栗ごはん、手作りのお豆腐、野菜の和え物、山のハーブを使って焼くハーブチキン、いちじくの赤ワイン煮など。どの料理も季節感があり、手が込んでいておいしそう。汁物はご主人が担当。「私はほんとに素朴なんしかできないんよ。母は魚屋さんを営んでたから料理上手やけどね。柚子大根とか、なるとオレンジピールが得意で島外から習いに来る人もいるくらいで、年々腕をあげているねん」 と信子さん。山菜の下処理とか、旬の野菜の使い方など、まだまだ知りたいことがたくさんでてきて、「こういう料理が作れるようになりたいです。 ぜひ教えて下さい」とみんなでお願いしました。ずっと構想を練っていたリコミンカ郷土料理企画も動き出す予感!

3. 絵手紙は心のダイエット

信子さんは「へたでいい、へたがいい」という言葉に惹かれて20年前から描きはじめ、10年前からは絵手紙も教えている。生産者の人にお礼状を出したり、バレンタインのメッセージ、お酒のラベルも手がけたそうだ。喫茶スペースの隣の工房にはたくさんの作品が飾られている。「今年還暦を迎えたから母に丈夫な体に産んでくれてありがとう、って感謝の気持を絵手紙で送ってん」 入り口に「ととや」という看板があったり、所々に飾られている魚には、お母さんの魚屋を継げなかったから、どこかに残したいという思いが込められている。

4. 草で遊ぶ

「楽しいことは探せばいっぱいある」バイタリティーのある信子さんはセンダン草、タデ、藍、びわの葉、栗のいが、玉ねぎなどを使って染める草木染めも教えている。自然のやさしい発色がきれいで同じ草を使ってもその時々で微妙に色合いが変化する。小学校にはボランティアで教えに行くそうで、「いろんな柄ができておもしろいでしょう。子どもは元気をくれるからね、お 礼は給食やねん」と子ども達の写真を見せてくれた。夏休みには子ども料理教室も開催されるそう。興味津々でお話を聞いてると「また時間があるときにゆっくり遊びに来たらいいよ」と私たちにも言ってくれた。自然に囲まれて気持いいのもあるけど、ここは信子さんたちの人柄でよりあったかい空間になっている気がする。信子さんは親しみやすいみんなのお母さん的存在、素直なおもてなしの心が伝わってくる。

5. 山の四季を楽しむ

山にはあじさいをはじめ栗、柿、ビワ、梅、桑の実などいろんな種類の木がある。山の実を使って自家製の果実酒も漬けているそう。信子さんがハーブを少しずつちぎって香りをかがせてくれる。「これはレモンバームミント、こっちはレモングラス、レモンバーベナ。もういっぱい増えて、ちょっと整理したから今は少ないけど」 階段の横には野生の三つ葉も発見。草刈りなど山の仕事はたくさんあって、お花の手入れ、お料理、絵手紙、草木染め。さきほどお話を聞いただけでもとてもお忙しそうですが。「そうそう、とにかく時間はたくさんできたけど、する事がたくさんあって。でも時間はゆっくり流れてるかな。外で作業してても正午はお昼のチャイムでわかるし、ここにいると時計なしの生活。おいしい空気を吸って、土と緑、花をさわってたらすごく元気になってくる感じがする。ごめんなさいね、来る前にやっておこうと思ったんだけど」と手早くコスモスをいける姿がすてきだった。

6. リコミンカに一言お願いします!

「ご近所の人におすそわけしてもらう野菜ってほんとにおいしいの。この前もいただいた茄子がすごくおいしくって。そういうものを食べてたらスーパーで野菜を買えなくなってくる。 ここに住んでるとたくさん買い込まなくても、お魚は魚屋さんで買うとか、その都度いるものだけを買いに行くようになったかな。汁物を作ったら山にみょうがやみつばが生えてるから、ちょっととってきてのせるとか。ここでは買わなくても暮らせる部分が大きいと思います」 近所の一人暮らしの人におかずをおすそわけしたり、物々交換が盛んだそう。「長沢は山奥で他から人が入って来にくい場所だけど、若い世代の人がいっぱい遊びに来てくれたらうれしい。主人は最近越して来た若者とお酒を飲むのが楽しいみたいよ」

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