その土地の風土や文化、風景に溶け込み、まるでその土地から生えてきたような家を作って暮らす。「淡路島の家」は何気ない風景や日常を見渡し、自分を取り囲む土地に寄り添って暮らしを作る提案です。便利になり過ぎた社会で、簡単に安価な物がいつでも手に入る時代にこの場所での建築の本来のありようを探っています。
床材、梁、柱など、建物を支える骨組みは、淡路島の山々から伐り下ろした針葉樹で構成します。
瓦の三大産地・淡路島。屋根には、200年以上脈々と
受け継がれた技術が詰まった淡路瓦を使います。
壁は軸組を見せ、木の呼吸を妨げない真壁とし、淡路島の土と藁を練り込んだ土壁で美しく仕上げます。
木や竹、土、石、和紙、瓦など
家づくりに必要な材料が豊富な淡路島。
淡路島の家では、山師とともに、
手作業で木を切ることから家づくりが始まります。
約400年前から続く淡路瓦の火入れ、
伝統的な左官作業、
土地に根付いた祭事などを経て完成に至ります。
そのどの工程においても、
ご参加またはご見学いただけます。
伐採前に、山の神様に挨拶をして、工事の安全を祈願。作業にあたる職人や道具を清める。
枝の張りや木の密集具合から、倒してもよいかを判断し、家づくりに最適な木を伐採。
木のかたちやクセを見極めながら、床・天井・柱などの材ごとに、人の手で一本ずつ製材。
土地の神様に、建築工事の無事を祈る「地鎮祭」を行う。
現代では珍しい、職人による手刻みの加工。棟梁が木の個性を見て、適材適所に采配する。
家として立ち上がった際に、木材の接合点がより締まって強くなるように組み上げられる。
骨組みに棟木が上がったことを祝う祭事。守り神を祀り上げ、家に命を吹き込む。
日本三大瓦のひとつである淡路瓦。工場が集まる町・津井を訪ね、瓦を焼く火入れ式に参加。
焼きあがった淡路瓦を屋根に葺く。光沢をおさえたいぶし銀の瓦を採用し、軽やかな印象に。
現在では社寺建築でしか見られない竹小舞。細く割った竹を編み込み、土壁の土台をつくる。
竹小舞に、島の土と藁、竹炭を混ぜたものを塗り、荒壁をつくる。
熟練の左官職人が、荒壁より細かい土・藁・竹炭を混ぜものを塗り、表面を美しく仕上げる。
伐採した木は冬の間、山中でじっくり自然乾燥させ、
虫がつきやすい梅雨になる前に山から運び出します。
自然のサイクルに合わせた
家づくりを大切にしているため、
完成までにかかる時間は
ご相談いただく時期によっても変化します。
「淡路島の家」がどのような思いで作られたか。
それぞれの工程で、どんな材料が、
どんな人が関わってきたのか。
この家ができるまでのすべてを綴っています。
「淡路島の家」と同じ思いのもと
「淡路島の小屋」も展開しています。
「地の」=作り手と使い手の距離が近いものづくりを。