人と皮革の関わり方についての調査_File 04_皮から革になる現場

2025.12.16

Researchの概要

2025年7月17日。RETHAELとHIRAMATSUGUMIのメンバーは兵庫県たつの市にある中嶋皮革工業所を訪れた。そこでは、RETHAELの原料となる良質なレザーが生産されている。その日は、1日中雨が降っていた。工場に佇む機械や、作業をしている人々、音、香り、空気、光景、皮、そして革が、薄暗い気候によってより鮮烈に、そして濃密に感じられたことを覚えている。

革がどのようにして作られていくのか。

「皮」が「革」へと変わる現場に息づく力強い日常の気配をここに記録する。

July 17, 2025. Members of RETHAEL and HIRAMATSUGUMI visited Nakashima Leather Co. in Tatsuno City, Hyogo Prefecture. There, the high-quality leather used as RETHAEL’s raw material is produced. It rained all day. I remember how the dim weather made everything feel more vivid and intense: the machinery standing in the factory, the people working, the sounds, the smells, the air, the sights, the hides, and the leather itself.

How is leather made. Here we record the powerful, everyday indication that breathes life into the place where “hide” transforms into “leather”.

1.中嶋皮革の位置

中嶋皮革工業所は兵庫県たつの市に位置する。姫路市の西側に隣接している。

※以下の地図は国土地理院作成のものを加工して掲載

姫路周辺における皮革産地の分布

松原地区の事業所分布と中嶋皮革工業所の位置

2.鞣しの現場 中嶋皮革工業所

[1] 原皮の搬入と保存

工場の入り口に折り畳まれて積まれた黒い物体。入り口から入り込む自然光を柔らかく反射した、いわゆる艶を持ったもの。近づくと、紛れもなくそれは牛の皮であることがわかる。生き物でありナマモノであることを証明するかのような艶。そして、腐らないように振りかけられた塩。皮革は食肉産業からの副産物を利用したものであることを体感する。

[2] 毛を抜く

原皮の背後には巨大な樽のような物体が大きな口を開けて佇んでいる。高い天井高をもつ壁のハイサイドライトと小さな照明によりわずかに照らされ、人間的なスケールを超えたそれは今にも動き出しそうな迫力があった。この樽の中に石灰液を入れて皮を浸し、皮を膨らませることで毛根を緩めて脱毛する。稼働時は溶液が溢れるほど揺れ動き、その名残りが垂れて固まって見えている。

[3] 鞣し

そこにも複数の大きなドラムが佇んでいた。我々見学者が小さく見えてくるスケール。ドラムの奥にある開口部から差し込む自然光が、この空間の陰影を強めることで、我々がよりちっぽけに見える。ドラムの前には薄い青色のシート状のものが折り畳まれ積まれている。少し濡れているようにも見えるそれは、クロム鞣しをされたあとの革である。ウェットブルーとも呼ばれるその革。はじめに見た牛の皮が、このような状態になることに驚くとともに、これがこのあと我々が普段触れているような製品になっていくことが信じられなかった。皮が革になる場所だ。

[4] 再鞣し・加脂・染色

鞣された革は水分を取り除かれ、革の裏側つまり肉の面側を削ることで、用途や目的に応じた厚みへと調整される。その後、それぞれに合わせて再鞣しを行ったり、染色をしたり、脂を加えて柔軟性を加えたりする。

[5] 乾燥

脱毛が行われるドラムが置かれた工場の2階。階段をあがった途端に暗闇から抜け出したように視界が開けた。色付けされた革が何枚も干されている。その連なりが厳かな光景をつくりだしているとともに、自然光によって革の陰影が際立ち、その美しさに息を呑む。革を乾燥することにより水分を乾かすほか、 染料を定着させる。鉄骨に取り付けられた専用の爪や革を載せるための什器が、 そこで行われる営みの断片として現れており、この空間の個性を強めていた。

[6] 革を柔らかくする

白色の照明が工場内を点的に照らしているのが印象的だった。各作業に必要な最低限の照明が施されていて、そこで展開される作業が浮き上がって見えてくる。機械がせわしなく動く音が聞こえた。音のほうをのぞくと、乾燥された革が専用の腕のような機械に取り付けられ、上下に大きく揺り動かされている。それも残像が見えるくらいのスピードで。こうすることで、革の繊維がほぐれ柔らかくなっていく。

[7] 塗装

皮革の仕上げのひとつとして、スプレーによる塗装が行われていた。切妻型の鉄骨造の大空間に、青い金属製の箱が続いている。その中をワイヤー状のコンベアーが通っていて、スプレー塗装された革が流れていく。この工程では、革の表面の美しさを色と艶で強調する。

[8] 色を合わせる

積まれた塗料の缶の数に圧倒される。ここでは仕上げの一環として革が塗装されている。窓が設けられた壁面側にスプレー設備があり、そこで色見本に合わせて塗装される。色合わせは、計算や数値で導き出されるものではなく、職人の手とその感覚だけで行われる。なるべく少ない数の塗料の組み合わせによって、目指すべき色に仕上げられるのが一流だという。人の手と技術によって、良質なレザーが生み出されるということを強く実感できる場所だった。

[9] アイロン・型押し

本当に多様な工程がある。ここでは仕上げのもうひとつの工程として、革全体にアイロンをかけるロール機があった。革をそのロール機に通すと、表面の艶が増して出てくる。用途によって艶を調整する。平滑性も増すことができるという。その他にも、必要があれば型押しを行い、表面に様々なテクスチャを施す工程もあった。その後、試験や面積などの計量を行って発送される。

 

 

「皮」から「革」へ。

歴史上、鞣しは古代から行われていたが、現在の鞣しの手法が生まれたのは 産業革命後の19 世紀ごろといわれている。 人類は動物の「皮」の力を借りるために、途方もなく長い間、幾度となく試行錯誤をしてきた。 長い時を経て人類の営みが培ってきた技術と、たつの市という場所の地勢、 そしてそこに住まう人々、職人の経験と勘が、 現在の「革」を育んできたのだろう。

中嶋皮革工業所ではそれが結晶となって、日常として展開されている。 職人たちの手によって生み出された美しい「革」が、製品となって今度は我々の手に届く。

物語が紡がれていく。

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