淡路島の植物や土を使用した染めの実験_File04
2024.3.25
Researchの概要
島の大地や風景がそのまま立ち上がったような島の建具の制作を構想。
身近な植物や土が内包する色を和紙に写し込む。
淡路島の植物を収集し、黒谷和紙を染める実験を行った。
We envisioned creating architectural fittings that express the island’s earth and landscape.
To achieve this, we decided to dye handmade washi paper using nearby plants and the soil beneath our feet.
File.01~03までの実験を踏まえて、本番の建具制作のための和紙を染めた。
黒谷和紙_紙漉キハタノ製作
植物_ひのき樹皮、ノグルミ実
灰土、浅葱土_近畿壁材製作
実験日2024年3月25日

染め_File04
染めに使用した素材
①.ひのき(樹皮)
淡路島洲本市の植林地にて伐採したもの
ネットに入れ鍋で5時間煮込む 大鍋3杯分/900g檜皮チップ
前回使用したものを使いまわし
②.ノグルミ(実)
淡路島洲本市にて採取したもの
大鍋で1時間 摘みたての実470g
前回使用した実を乾燥して煮出したもの
③.淡路島の土(灰土)
淡路島の各地で採取されたもの(近畿壁材の商品)
湧き水1200mlに対し大さじ12 和紙8つ切り3枚
④.淡路島の土(浅葱土)
淡路島の各地で採取されたもの(近畿壁材の商品)
湧き水1200mlに対し大さじ12 和紙8つ切り3枚
手順
草木染めの場合
⑴.濃染液(水道水800cc+カラーアップ5cc) 50~60℃ 1h
染めに使用する和紙を浸水しておく
*植物繊維には染料が入りずらいため、染まりやすくするために濃染処理を行う
⑵.染色液(湧き水+アニノール) 50℃(人肌くらい)
和紙を一枚ずつ染色液に浸す. ムラが出ないように、和紙を返したり揺らしたりした
*染色液は植物をあらかじめ煮出すなどしたもの
⑶.媒染液(湧き水) 15%*注 2.3min
銅媒染、アルミ媒染、鉄媒染の3パターンで比較する
⑷.洗い(水道水)
水を溜めたところに1枚ずつ浸し、やさしく洗う
*⑵~⑷の工程を1~5回繰り返す
⑸.ソーピング剤(湧き水+10ml) 室温20℃ 10min
染色後に余分な染料を除去する
⑹.乾燥
直射日光が当たらない屋内に吊って乾燥させる
*注 媒染液 水450mlに対しての15% 67.5g
ベンガラ泥染めの場合
⑴.下染め(湧水+下染め液3%) 50~60℃ 1h
今回は下染めなし
⑵土を溶かした液(湧水+各種土) 50℃
手で押さえながらムラがでないように両面満遍なく和紙に染み込ませる
*1/16切りの紙はしばらく漬け染め
⑶.洗い(水道水)
つけ置き後表面の土を落とすようにさっと洗い流す
染色後に余分な泥を除去する
⑷.乾燥
直射日光が当たらない屋外で乾燥させる
今回の実験の成果
①.ひのき 番重小で420mm*270mmサイズの和紙
銅媒染 3.4.5回
アルミ媒染 3.4.5回
鉄媒染 3.4.5回
②.ノグルミ 番重小で420mm*270mmサイズの和紙
銅媒染 3.4回
アルミ媒染 4回
鉄媒染 1.2.3回
アルミ2回+銅1回
アルミ3回+鉄1回
銅2回+鉄1回
④.淡路島の土染め(灰土) 番重大で4つ切りサイズの和紙
浸し染め
⑤.淡路島の土染め(浅葱土) 番重大で4つ切りサイズの和紙
浸し染め
所感
黒谷和紙はこんにゃくのりをひいた和紙に変更してもらったため、和紙に強度が出た。
ノグルミ煮出し2回目だからか、前回より発色は弱い。
ひのき銅媒染がいい色。染めを重ねて色を深めるともっといい色になる予感。
泥染は染めと洗いの過程で出来るだけムラが出ないように気にかける。
洗いをかけても乾いた後、少し粉っぽさが残っている。


