植生の調査_File06_柏原山
2025.11.18
Researchの概要
柏原山(かしわらやま)は、淡路島南東部、諭鶴羽山地東部にある標高568.9mの山で、洲本市千草丙に位置する。諭鶴羽山(ゆずるはさん)、先山(せんざん)とともに「淡路三山」の一峰をなす。
今回は登山道登山口から入り、展望台までの道の植生を調査する。
Mount Kashira (Kashiwayama) is a 568.9-meter-high mountain located in the eastern part of the Yuzuruha Mountains in southeastern Awaji Island, within Chigusa-he, Sumoto City. Together with Mount Yuzuruha and Mount Senzan, it forms one of the peaks of the “Three Mountains of Awaji.”
This time, we will enter from the trailhead and survey the vegetation along the path to the observation deck.
調査日2025年10月6日

クマノミズキ
Cornus macrophylla
ミズキ科 落葉高木
分布 近畿以西の本州、四国、九州
高さ 8~12m
花期は梅雨時期で白い花を咲かせる。
花序及び果序(果実の集り)の枝が、緑色から実がなる頃には赤くなる。実は多くの野鳥が好んで採食する。

レモンエゴマ
Perilla citriodora
シソ科 一年草
分布 宮城県以南の本州の太平洋側、四国、九州
高さ 20~90cm
柏原山では道路脇にかなり多く見られる。交雑が多くトラノオジソやセトエゴマなどと判断が難しい。
レモンエゴマは葉を揉むとレモンのような香りがする。精油を抽出し、香料に利用される。

エビヅル
Vitis ficifolia
ブドウ科 つる性落葉木本
分布 北海道南部、本州、四国、九州
葉は3~5裂し、葉の裏にクモ毛と呼ばれる毛があり、ビロードのような手触り。花期は6~7月で、秋には果実がブドウの房状に黒紫色に熟し、食用にされる。

ナガバヤブマオ
Boehmeria sieboldiana
イラクサ科 多年草
分布 山形県、宮城県以南の本州、四国、九州、沖縄
高さ 1~2m
カラムシ属の在来種で繊維が取れる。
花期は7~8月で20cmほどの穂状花序をつける。
葉は先が長く尾状に伸び、縁には揃った鋸歯がある。

ゴンズイ
Euscaphis japonica
ミツバウツギ科 落葉小高木
分布 関東地方以西の本州、四国、九州、南西諸島
高さ 3~6m
ゴンズイの名前の由来は諸説あるが、魚のゴンズイが、毒があり役に立たないことから、それと同様に役に立たない木として命名されたそう。
花期は5~6月で、果期は9~10月、果実は肉質で硬く鮮やかな赤色をしている。

コシダ
Dicranopteris linearis
ウラジロ科
分布 福島県以南から琉球
高さ 1~2m
裏白に似ているが、葉が繰り返して二叉分枝する点で異なる。
やせ地や乾燥地を好み、森林伐採や山火事で裸地になったところに大きな群生を作る。
秋になると、松茸の下に敷かれて販売されている姿を見かける。

ナツフジ
Wisteria japonica
マメ科 つる性落葉木本
分布 東海道以西、四国、九州
大きさ 10m
日本固有種で、夏に花を咲かせることから、ナツフジと名付けられた。7~8月に20cmほどの花穂を形成し、薄い黄色の花をつける。葉は奇数羽状複葉。ツルは左巻きに巻く。

アオイゴケ
Dichondra micrantha
ヒルガオ科 多年草
分布 本州西南部から沖縄
高さ 5~15m
在来種。地面を匍匐し、節々から根を伸ばし定着する。
外国産の近似種もあり、葉の表面に斜めに毛が生えているものが在来種と特定できる。
フタバアオイに似た形の葉をもち、苔のように地面に広がるところからアオイゴケと名付けられた。

サンショウ
Zanthoxylum piperitum
ミカン科 落葉低木
分布 日本列島
高さ 1~3cm
葉は互生し、奇数羽状複葉で、葉柄の基部に棘が2本ずつ対生してつく。葉には強い芳香があり、若葉は木の芽として食用される。また雌花は花山椒として、球果は香辛料としても使われる。

ナンキンハゼ
Triadica sebifera
トウダイグサ科 落葉高木
分布 本州、四国、九州
高さ 8~15m
名前の通り、原産は中国、台湾である。
葉は丸みを帯びた菱形をおり、秋には紅葉する。
鹿が好んで食べないので、淡路島の山でもその数が増えている。
12月になると白い実がたわわに実り、種子からハゼロウ同様に蝋が取れ、蝋燭の原料に使われる。

ボタンヅル
Clematis apiifolia
キンポウゲ科 落葉つる性半低木
分布 本州、四国、九州
長さ 2~4m
花期は8~9月で、花が終わって果実になりはじめたところ。果実は狭い卵形で、先端に白い綿毛に覆われた花柱が残る。
全草にプロトアネモニンを含み、汁液に触れると皮膚が被れることがある。

ヤマコウバシ
Lindera glauca
クスノキ科 落葉低木
分布 本州(宮城県以西)、四国、九州、南西諸島
高さ 3~8m
落葉樹だが、冬になっても葉を落とさず、翌春の花が咲く頃に落葉する。日本では雄株が存在せず、全て雌株のクローンである。
葉を揉んだり、枝を折ると、特有の芳香があり、精油は香料として使われる。若葉は乾燥し、非常食として食されていた。

ナワシログミ
Elaeagnus pungens
グミ科 常緑低木
分布 本州(関東地方、伊豆半島以西)、四国、九州、中国中南部
長さ 2.5m
葉は互生し、厚くてかたい。新しい葉は、表面に星状毛が生えるため白っぽいが、成熟すると艶のある深緑になる。裏面は褐色から銀燭の鱗片が多い。
花期は今頃で、果実は翌春ごろになる。赤く熟した果実は食用になる。

アベマキ
Quercus variabilis
ブナ科 落葉高木
分布 本州山形県以西、四国、九州
高さ 10~30m
クヌギによく似ており、クヌギとアベマキの中間種も多く区別が難しいものもある。葉の裏面は、星状毛が密生し灰白色に見える。
樹皮のコルク層が発達し、コルク用途として使用される。
樹皮、果実は生薬や漢方としても使用される。

ヤマモモ
Morella rubra
ヤマモモ科 常緑高木
分布 関東以南の本州、四国、九州、沖縄
大きさ 20m
日本原産種。
葉は互生し、枝先に束生する。花期は3~4月で、6~7月ごろに果実がなる。赤く熟した果実は生食や、ジャム、果実酒に加工される。
樹皮は、渋木と呼ばれ染料として利用される。樹皮に含まれるタンニンには、防腐、防水、防虫効果があり、昔は魚網を染めるのに用いられたそう。

クサギ
Clerodendrum trichotomum
シソ科 落葉低木
分布 北海道、本州、四国、九州、琉球列島
高さ 2~3m
日当たりの良い原野や林縁、河原、山道などに群生する。最初に生えてくる樹木として先駆植物(パイオニア)の典型である。
花期は7~9月ごろ、白い花を多数咲かせ、果期は10~11月ごろで、熟すと藍色になる。果実は、染色に使用される。
葉は、独特な香りがあり、若葉は山菜として利用される。
根は薬用にもなる。

カギカズラ
Uncaria rhynchophylla (Miq.) Jacks.
アカネ科 常緑樹
分布 房総半島以南、四国、九州
大きさ 10m
葉の基部上側に鉤がついており、先端を丸め周囲の植物に引っかけて生長するツタ性植物。鉤は規則的に2つ、1つ、2つ、1つとついている。鉤部分は、生薬、漢方薬に利用されている。南米ペルーのアマゾンの先住民族が伝承薬としていたキャッツクロー(アマゾン奥地に自生)と近縁種にあたる。

カクレミノ
Dendropanax trifidus
ウコギ科 常緑広葉樹
分布 本州(千葉県南部以西)、伊豆諸島、四国、九州、沖縄
高さ 2~3m
葉は濃緑で光沢があり、稚樹の間は3~5裂に深裂するが、成長とともに卵形の全縁になる。
葉の先が3、あるいは5に裂けたものは、神に供物する際に酒や飯を盛る器として使われた。

ハゼノキ
Toxicodendron succedaneum
ウルシ科 落葉小高木
分布 本州(関東地方南部以西)、四国、九州、沖縄、小笠原諸島
高さ 5~10m
日本への渡来は1591年、蝋燭の蝋を採取する目的で中国から種子が輸入され栽培されたのが始まりと言われる。
果実を蒸して圧搾して採取される木蝋は、和蝋燭として利用される。
樹液に触れるとかぶれることがあるため注意が必要。

コバノガマズミ
Viburnum erosum
ガマズミ科 落葉低木
分布 本州(福島県以西)、九州
高さ 1~4m
葉柄が極めて短く、歯の両面に星状毛がありビロードのような触感がある。花期は4~5月で、枝先に白く小さな花を密につける。果実は9~11月で赤く熟すと食べられる。

アカガシ
Quercus acuta
ブナ科 常緑広葉樹の高木
分布 本州(宮城県、新潟県以西)、四国、九州
高さ 20m
標高の高いところに生える。材は非常に堅く、丈夫で赤みを帯びているところから名付けられている。
淡路島では諭鶴羽山にアラガシの群落がある。
果実は10月ごろで、春に開花、受粉したどんぐりは2年かけて翌年の秋に成熟する。

クズ
Pueraria lobata
マメ科 つる性多年生草本
分布 千葉県以西、四国南部、九州、琉球列島
長さ 10m
秋の七草のひとつであり、根は葛根湯や、葛粉の原料となる。葛の繊維で編んだ布を葛布(くずふ)と呼び、すでに万葉集の時代には記録がある。葛布で着物や、蔓で籠を作るなど人の暮らしと古くから密接な関係がある。

柏原山 森林公園展望広場と南展望台
道路の両サイドが展望所になっており、大パノラマの絶景が広がっている。一方は淡路島の山々を望み諭鶴羽山も見ることができ、反対側は友ヶ島を挾み大阪湾、紀伊水道、和歌山方面まで見渡せる。
柏原山は過去に天体観測スポットとして全国3位に選ばれたこともあるそう。
南展望台へ続く道

シキミ
Lllicium anisatum
マツブサ科 常緑小高木
分布 本州(宮城県、石川県以西)、四国、九州、、種子島、屋久島、琉球諸島
シキミは、仏事に広く使われ、関西地方では仏前や墓前に供えられる。地元の方言では、シキビ、ビショギなどとも呼ばれる。
全体が有毒であり、特に果実、種子は毒性が強い。果実が八角によく似ており、誤認して食用にすることで中毒を起こす事故が多発している。

柏原山 北展望台
北展望台付近までは、車で行けるが道が狭く落石も多いため十分注意が必要。展望台からの景観は、松に遮られ景色の抜けはほとんどない。
松が群生している。
天体観測には向いているかも。


