造成のいい加減がわからない。今回の造成は最小限にとどめている。もともとあった地形をできるだけ残し、車が通れるだけの道を作り、崖の崩落していた部分を取り除く。あと少し、もともとあった斜面に今後人の手を入れやすいように小段を作ってもらった。たったこれだけのことで、もう別の敷地になったようになる。耕作放棄地になってから数年の間に侵入してきた植物を追い出し、表土を剥ぐだけで。造成は難しい。少し手を入れるだけで、大きく表情を変えていくし、今までその状態で平衡状態を保っていたのが、人工的に急激に変えられることによって水の流れが変わり、大げさにいくと空気の流れがかわり、生態系が変わる。自然に直接手を入れるとはそういうことなんだと、改めて実感する。
すべてのことを把握しながら進めるなんて傲慢な考え方はやめて、少しづつ少しづつ様子を見ながら進めなければ。そうでなければ、どうしてもコンクリートで固めてしまおうという発想になってくる。そうでもしないと、自然に負けてしまうから。自然に委ねられるおおらかさがなければ自然に手を入れることなんてできないのではないか。