草木染め和紙を使用した建具の制作
2025.3.3
Researchの概要
HIRAMATSUGUMI自社の2階部分の改装に伴った建具の制作。
島の大地や風景がそのまま立ち上がったような島の建具。
身近な植物や土が内包する色を和紙に写し込む。
2階には庭に面した大きな開口があり、庭や空を望める。
その庭から採取した植物を使用して今回は2種類の建具を制作した。
01.Door made of sasanqua -山茶花の扉-
02.Door made of chestnut -栗の扉-
ひとつの素材による色の変化を楽しめるデザイン。
「草木染めの和紙を仕上げとした扉」という意味をなるべく失わないように小片にせず、できるだけ大きい面積で貼り付ける。
We custom-made doors for the second-floor renovation.
The second floor features large windows overlooking the garden and sky.
We dyed Japanese paper using plants harvested from that garden to create two types of doors.
01. Door made of sasanqua
02. Door made of chestnut
We designed them to enjoy the color variations of the single material.
Furthermore, to preserve the essence of “doors finished with plant-dyed washi paper,” we avoided using small pieces of washi paper and applied the largest possible sheets.
黒谷和紙_紙漉キハタノ製作
植物_サザンカ花片、栗いが

染め_File05
染めに使用した素材
①.サザンカ(花片)
淡路島洲本市の自社の庭にて採取したもの
冷凍花びらを煮出したもの 和紙全判 10枚
②.栗(いが)
淡路島洲本市の自社の庭にて採取したもの
乾燥して煮出したもの 和紙全判 8枚
手順
⑴.濃染液(50~80℃の5Lの湯+10%のカラーアップ剤) 50~60℃ 1h
染めに使用する和紙を浸水しておく
*植物繊維には染料が入りずらいため、染まりやすくするために濃染処理を行う
⑵.洗い(水道水)
⑶.染色液(湧き水+アニノール) 50℃(人肌くらい)
和紙を一枚ずつ染色液に浸す. ムラが出ないように、和紙を返したり揺らしたりした
*染色液は植物をあらかじめ煮出すなどしたもの
⑷.洗い(水道水)
⑸.媒染液(湧き水) 15%*注 2.3min
銅媒染、アルミ媒染、鉄媒染の3パターンで比較する
⑹.洗い(水道水)
水を溜めたところに1枚ずつ浸し、やさしく洗う
*⑶~⑹の工程を1~5回繰り返す
⑺.ソーピング剤(湧き水+10ml) 室温20℃ 10min
染色後に余分な染料を除去する
⑻.乾燥
直射日光が当たらない屋内に吊って乾燥させる
今回の成果物
①.サザンカ 番重大で920*620(2枚) 920*399(2枚) 265*620(1枚) 265*399(1枚) サイズの和紙
銅媒染 2回
アルミ媒染 1.3回
アルミ媒染 2回+鉄1回
鉄媒染 1.2回
②.栗 番重大で二つ切り、四つ切り2サイズの和紙
銅媒染 3回
銅媒染 2回+鉄媒染1回
アルミ媒染 2.3回
鉄媒染 1.2.3回

Door made of sasanqua -山茶花の扉-


Door made of chestnut -栗の扉-

所感
栗のいがは、アルミと銅の色の差があまりない。
サザンカは以前よりも落ち着いた色味になった。
番重に入らないサイズの和紙を濃染液につける時に折り目や浸かっている、浸かっていないところで色の差ができてしまった(次回要注意)。


